チューナーレステレビでminiLED高画質が発売!買って後悔しないかどうか、東芝やソニーやシャープ製のチューナー入りモデルと比較

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2023年5月下旬にTCLからC845シリーズがリリースされ、チューナーレステレビとしては初となるminiLED液晶が注目されています。

チューナーレステレビはNHKを解約して受信料金を支払わなくても済むテレビとしても話題ですが、TCLのC845シリーズは本当に満足できる性能なのか信じきれない人も多いはずです。

既存のチューナーレステレビや、チューナー入りの国内メーカー製のminiLEDと性能を分かりやすく比較しながら解説いたしますので、気になる方はぜひ参考にしてください。

TCL製のminiLED液晶チューナーレステレビ

TCLは中国の大手企業であり、日本でもAndroidを搭載したコスパ重視のテレビを多く販売しています。

2022年の国内シェアはパナソニックに次ぐ第6位。
2023年の1月には販売台数で第4位だったソニーを上回り、1~3月ではTCL製の32型が国内で第1位の販売数を記録するなど、非常に高い人気を誇ります。

そんなTCLが発売したC845シリーズの良し悪しをかんたんに説明すると、次の通りです。

  • 現在販売中のチューナーレステレビの中では最高性能
  • 倍速パネルを搭載しているため、ゲームやスポーツ視聴がメインであれば買っても後悔しない
  • ただし、miniLEDの搭載はまったくのムダであり、価格の30~40%は不要な出費

分かりやすく解説していきます。

チューナーレステレビとしては最高性能だが……

チューナーレステレビは現在40機種以上販売されていますが、TCLのC845シリーズは間違いなく最高性能です。

ただし、最高性能とする理由は次の2点だけです。

  • 倍速パネル搭載による、映像ノイズの低減
  • 60Wスピーカーによる、低音質の改善

倍速パネルを搭載したテレビは、0.017秒ごとに切り替わる映像を0.0083秒ごとに切り替えることができ、倍の速度でどんどん映像を切り替えていきます。

受け身で見る映画やドラマであれば0.017秒ごとでも十分に速い切り替え速度ですが、ゲームやスポーツなど、身を乗り出して自分から情報を集めにいく場合には、0.017秒では映像と映像の間が飛び飛びになっていると感じる可能性があります。

倍速パネルを搭載して0.017→0.0083ごとの切り替え速度に上がると、飛び飛びの違和感がほぼなくなるため、長時間見ていても目が疲れにくくなるメリットがあります。

倍速パネルを搭載したチューナーレステレビはTCLのC845シリーズ以外には現在販売されていないため、ゲームやスポーツ観戦好きな方であれば、間違いないなくおすすめです。

また、現行のチューナーレステレビは20W以下のスピーカーしか搭載されていないため、低音の迫力は一切出ません。

しかしC845シリーズは60Wの出力を確保しているため、ある程度迫力ある音を楽しめます。

別売1万円程度のスピーカーと同等か若干下回りますが、20Wスピーカーは2~3千円の外付スピーカーに劣るため、60Wであればテレビ内蔵のスピーカーとしては高性能といえるでしょう。

ただし、C845シリーズの要であるminiLEDは、ムダな出費を生むためそれを理解した上で購入しましょう。

理由は次の通りです。

LEDをmini化(小型化)しても、部分駆動はほとんどしていない

液晶テレビは画面の奥にバックライト(LED)が配置されており、それらを点灯させることで明るい映像を表現しています。

従来のLEDは100~1,000個ほど搭載されており、例えば829万画素の4Kテレビを100個で画面全体の明るさをコントロールする場合は、1個点灯させるだけで8.29万画素を明るくしてしまうため、明暗のメリハリを付けづらい欠点がありました。

そこでLEDを小型化して1~4万個まで増やすことで、より細やかな明暗のメリハリをコントロールするわけですが、実際は搭載数を多くしただけで、1~4万個を1個ずつコントロールしていません。

LED数部分駆動数
従来のチューナーレス100~2000
C845シリーズ1~2万1千以下
従来の液晶テレビ最上位で1,000100以下
東芝製miniLED1~2万1千以下
ハイセンス製miniLED1~2万1千以下
パナソニック製miniLED1~2万1千以下
ソニー製miniLED3~4万5~8千
シャープ製miniLED3~4万5~8千

つまり、確かにLEDを小さくして多く配置しているものの、ある程度の数をまとめてコントロールしているため、1個点灯させると画素をまとめて照らしてしまい、結局のところ明暗のメリハリがあまり付きません。

部分駆動数部分ごとの点灯画素数
従来のチューナーレス0829万
C845シリーズ1千以下0.829万
従来の液晶テレビ最上位で100以下8.29万
東芝製miniLED1千以下0.829万
ハイセンス製miniLED1千以下0.829万
パナソニック製miniLED1千以下0.829万
ソニー製miniLED5~8千1,036~1,658
シャープ製miniLED5~8千1,036~1,658
microLED829万1
有機EL829万1

従来のチューナーレステレビと比較すれば間違いなく性能は上ですが、実はテレビには「LEDの部分駆動」とは別にLEDの光をコントロールする「高機動シャッター」が1画素ごとに配置されているため、部分駆動がなくても829万画素の明暗をある程度コントロールできます。

高速で開閉を繰り返すシャッターは、動くスペースを確保するためにわずかなすき間があるため、そのすき間から漏れる光をゼロにするためにLEDを消したり点けたりするわけですが、LEDの部分駆動はあくまでも高機動シャッターの補完技術に過ぎません。

有機ELやmicroLED(民生用は未発売)のように1画素単位で光のオンオフができれば画質は大きく向上しますが、千~万の画素をまとめて照らしてしまうminiLEDでは効果はほとんどないものと考えましょう。

むしろLEDを小型化すると本体価格が大きく値上がり、反対に電気効率は大きく低下するため、デメリットの方が目立つかもしれません。

本体価格消費電力
従来のチューナーレス
55インチ(ソニー製)
96,058円196W
55C845185,047円280W
従来のチューナーレス
65インチ(オリオン製)
99,790円190W
65C845241,100円330W
2023年6月8日時点。税込

また、映像エンジンなどのチューナーレステレビの使用には不要なものも多いです。

高画質エンジン地デジと違い、ネット動画は元データがキレイであるため効果はほぼなし。価格が高くなるだけ
明暗コントラスト55C845は6000:1だが、国内メーカーは10年以上前に100万:1となって以降、参照スペックとしてほぼ扱っていない
量子ドット青色LEDに黄色染料を塗らずそのまま使用できるためより明るい映像を出せるが、従来のカラーフィルター式でも自宅で見るなら十分な明るさ。
なお、色表現の幅はとうに人間の目の限界に達しており、量子ドットで色域が広がっているといわれても知覚不可能
ドルビーアトモス立体音源を入力できるだけで、表現(出力)するためのスピーカーが搭載されていない

エンジンも量子ドットも製品価格を上げるだけで、消費者側にはメリットがありません

さらに、ゲームプレイの強さについても注意が必要です。

  • 144Hz表示を謳うが、倍速機能は働かないため、元データが144Hzである必要がある
  • 最新ゲーム機のPS5でも出力は120Hzまで
  • パソコンで出力を掛けない限り、144Hz表示は活かせない
  • 最速0.8msの応答速度も、パソコンで144Hz出力した場合だけ活かせる

倍速パネルは60Hzを120Hzに増やす機能であり、元が60Hzや120Hzの映像を144Hzまで引き上げられるわけではありません。

また、応答速度も、144Hzのゲームモードを使わない60Hzや120Hzのときは遅くなります。

通常時の応答速度ゲームモード
55C8456.5ms
チューナーレス
オリオン製50インチ
5.0ms
65C8458.5ms
チューナーレス
オリオン製65インチ
6.5ms

パソコンと繋いで144Hzの出力を掛けないのであれば、価格が約半値のオリオン製に劣ります。

ただ、応答速度の単位は1,000分の1秒であるため、画素の色変化速度が0.0065秒でも0.0008秒でも、差を体感することは難しいため気にする必要はありません。

FPSゲームなど、一瞬が勝敗を分けるゲームであれば大事な要素ですが、C845シリーズのラインナップである55インチや65インチの大画面でFPSゲームをする時点で勝率が落ちます。

ただし、ここまで否定続きでしたが、倍速パネルを積んでいる時点で非常に価値が高いため、大画面でゲームをするのであれば、チューナーレステレビではC845シリーズが最適です。

コストパフォーマンスを求めるのであれば、通常のLEDバックライトに倍速パネルだけを搭載させた10万円前後のチューナーレステレビが販売されるまで待つべきですが、いつ販売されるか分からないため、いまゲームに適した55~65インチのチューナーレステレビ欲しい場合には、C845シリーズを購入しましょう。

C845シリーズ以外のチューナーレステレビについては、全40機種以上のおすすめランキングを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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