ミニLEDテレビは買ってはいけない?有機ELにも液晶にも劣る理由

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高画質なテレビと言われて真っ先に思い浮かぶのは『有機EL』ですが、最近は『ミニLED』という新しいテレビもちらほらと耳にします。

『ミニLED』は液晶と有機ELの良いとこどりをした最新モデルとして紹介されていることが多いですが、実際には実生活を無視して設計された『見せかけの高画質』です。

理由を分かりやすくお話いたしますので、できればミニLEDテレビの購入を避けてください。

見せかけの高画質 1.【過剰な明るさ】

『ミニLED』が高画質とされる理由の1つに、「小型のLEDを高密度に敷き詰めることにより、液晶が得意とする明るく鮮やかな映像性能をさらに引き上げた」という売り文句があります。

例えばシャープ製の4T-C65EP1は、「従来の当社液晶テレビ(同年発売の4T-C65EN1)に比べ、3倍の以上の輝き――」と謳っています。

3倍=過剰と言うつもりはありません。

ですがメーカーは、3倍以上の明るさだとアピールしておきながら、実際には明るさを下げてから出荷しています。

……ん? ……どういうこと?

結論だけ言ってしまうと、3倍の明るさはたくさんの機種が並ぶ家電量販店で他の機種を暗く見せるための専用モードです。

人が無意識に感じる『明るさ』に対する安心感

  • 人間は明るい方が綺麗に感じやすく、何より安心する。逆に暗いと不安になる
  • お店は自宅よりずっと明るいので、本来は十分な明るさがあるモデルを暗く感じさせることができる(価格が高いモデルへ誘導しやすい)
  • 価格が高いモデルの中でも圧倒的に輝く機種があれば、さらに高いモデルへと誘導できる

家電量販店も製造メーカーも商売なので仕方ありません。

3倍の明るさの専用モードも、自宅で使おうと思えば使えるので嘘を言ってはいません(映像設定でスタンダード→ダイナミックモードに変更するだけ)。

 

でも、お店で短時間見るだけなら綺麗に感じてしまいますが、自宅で長時間見るには眩しすぎます。
だからこそメーカーは出荷時に明るさを下げています。
さらに言ってしまえば、従来の『液晶テレビ』でさえ明るさを下げて出荷しています。

自宅で見る明るさは従来の『液晶テレビ』で十分足りています。それ以上明るくするメリットは、自宅での使用においてはまずないと言えます。

見せかけの高画質 2.【黒表現の密度は有機ELの1%未満】

『ミニLED』はその名の通り、小型のLEDを高密度に敷き詰めているので、部分的にLEDを点灯させたり消灯させたりして、明るさと暗さのメリハリを出すことができます。

ですが、落とし穴があります。

光源の数が有機ELは約829万/ミニLEDは約3万

『ミニLED』テレビは約3万個のLEDが敷き詰められています(2021年製の86QNED99JPAの場合)。
従来の液晶が1000個に満たなかったので、大幅UP!(有機ELの光源数は約829万)

サイズが小さいと搭載LEDの数が減りますが、2022年モデルは輝度を上げているので55~65インチであっても3万個以上搭載していると予想されます(有機ELの光源数は約829万)。

数多くのLEDで明暗をコントロールするとどうでしょう、
有機ELと比べても、まったく遜色そんしょくないレベルで夜景が綺麗!

……あれ? 有機ELの方がすごいという話の流れではないの?

いえ、夜景・・だけ・・なら遜色そんしょくありません。

  • 映像が全体的に暗いのであれば、3万個の光源コントロールで十分表現できる
  • 人間の目の限界(暗いシーンはそもそも細かな違いを認識できない

量販店に行って夜景を見比べた場合、ミニLEDは有機ELに匹敵する黒表現であると誰もが感じます。

ですが、そう感じるのはあくまでも夜景だけです。

夜景以外のシーンでは?

  • 人間の目の認識能力(明るいシーンでは829万と3万の光源数の違いを認識できる
  • 3万個の光源では明るさの中にある暗い影まで表現できていないことに気付く(色も全体的に薄くなっていることに気付く)

ミニLEDは確かに有機EL並みの黒と従来の液晶以上の明るさを持ち合わせていますが、同時には表現できません。
真っ暗か眩しさか。
眩しさは不要な上に、常に暗いシーンばかり見る訳でもないので、ミニLEDが実生活において役立つことはありません。

ミニLEDの価値とは?

従来の液晶テレビと比べると光源をコントールできる数が多いので、従来の液晶テレビよりは暗さや色の濃さを表現できます。
眩しすぎる明るさを落として使う場合でもその点は生きてくるので、液晶よりは映像が綺麗です。

ただし、購入価格が有機ELより高い上に、小型化されたLEDは電気効率が落ちます。

人間の目の認識能力も、有機ELとミニLEDの800万個以上の光源差はハッキリと分かります。
でも通常の液晶とミニLEDの数万個の光源差は少し分かりづらくなります。

画質お買い得さ省エネ性能焼き付きリスク平均寿命
有機EL×あり8~9年(推定)
ミニLED×なし10年
従来の液晶なし10年

ミニLEDは買ったとしても実害はありませんが、型落ちモデルが豊富な有機ELを購入する方が低価格&高画質です。

有機ELは焼き付きリスクは0ではないものの昔のプラズマテレビよりは熱量が少なく、自動メンテナンス機能も付いているのでリスクは小さいです。
省エネ性能だけはどうしてもLEDに勝てませんが、高画質で描写するためにはより多くの電気が必要です(有機ELの電気代や売れ筋ランキングをこちらの記事で紹介してます)。



ランニングコストを抑えたい場合には、従来の液晶の中で高画質タイプを選びましょう。画質の差は見比べても小さい上に、自宅では見比べません。

なお、ミニLEDは本来液晶が目指すところの『マイクロLED』の途中段階のテレビです。
だからこそすべてが中途半端な性能なのです(マイクロLEDは有機ELと同じで1画素1画素で発光。829万画素の4Kテレビなら光源も829万。まだ小型化、軽量化、省エネ化、低コスト化ができておらず、業務用の大型ディスプレイみ販売中)。

ミニLEDを買うなら『前身となったモデル』の購入が断然おすすめ

ソニーの場合

ソニー製ミニLED「X95Kシリーズ」を購入するなら、LEDが小型化する前の「X95Jシリーズ」が断然おすすめです。

ここがポイント!
☆ミニLEDの有無以外はほぼ同性能!
☆X95Jシリーズもミニではないが従来サイズのLEDを敷き詰めていて、明暗をある程度コントロールできる!
☆X95Jシリーズの時点で完成度が非常に高い!(広視野角、低反射、XRエンジン、Android搭載)
☆型落ちなので安い!

85/75インチは生産がすでに終わっているので在庫限り。65インチは2023年4~5月で生産を終える予定です。

なお、ソニー製の有機ELであれば⇩のモデルがおすすめです。

75/85インチはこちらから!

東芝の場合

東芝の場合、ミニLED「Z870/Z875シリーズ」と同じ800番台の前身モデルがありません。
なので、基本スペックが少し落ちますがお買い得な700番台の液晶か、有機ELがおすすめです。

ここがポイント!
☆従来の液晶の中では高画質&フロントスピーカーで音も良し!
☆タイムシフト機能もある!
※ただし、広視野角パネルではないので、正面以外からも見る人は有機ELモデルがおすすめ!
⇩の9400Sは映像の綺麗さも音の迫力もミニLEDモデルより上!タイムシフト機能もあり!
65インチはこちらから!

シャープの場合

シャープは公式でミニLEDとの比較で「EN1シリーズ」を採用していますが、型落ちの「CN1/DN1シリーズ」がほぼ同じ性能なのでそちらの方がお買い得です。

ただしCN1/DN1はミニLEDモデルよりスピーカー性能が落ちてしまうので、有機ELモデルを購入するか、サウンドバーを別途付ける方が満足度が高いかもしれません。

⇩Amazonで10980円で売れ筋NO.1のサウンドバー。5年以上販売され続けている大人気モデル。

65インチはこちらから!

ミニLEDの今後

現状は有機ELよりも高い金額で売れているので、メーカーはしばらく販売を続けます。

いずれミニLEDの相場が下がってくると、組み込むLEDの数を減らしてコストカットを図り、そうすると従来の液晶と差がなくなってくるどころか、従来の大きさのLEDの方が製作コストも電気効率も良いので、ミニLEDはおそらく消えます。その頃にはマイクロLEDが民生用として売り出されているはずなので、メーカーはそちらに注力していくはずです。

テレビの過去
3D(立体視)消滅(メガネが不便)
4倍速/8倍速パネル消滅(製造コストが高過ぎる)
テレビの現在と未来
4K10年後でも主流
8K10年後なら多少普及
ネット動画機能10年後でも主流
チューナ―レス10年後には主流
ミニLED10年後には消滅(おそらく)
マイクロLED10年後には民生用の最上位機種
有機EL10年後でも主流(今後は省エネタイプが増えてくる)

今後は高画質な有機ELが液晶のように省エネ化していくと同時に、省エネな液晶が有機ELのように高画質化していきます。

テレビ市場は両者の競争になる訳ですが、マイクロLEDが業務用しかない中、
有機ELの省エネモデルは民生用として2022年に登場しています。

同メーカー・同インチと比較すると最大2倍の明るさで映しても逆に消費電力が減るので、50%以上の省エネ化。
本体が高額&従来の液晶よりはまだ多くの電気を使うので完璧ではありませんが、今後はさらに省エネ化されていくはずです。

ミニLEDを購入するなら前身となった液晶モデルの購入がおすすめですが、高画質が欲しくて有機ELを買うなら、ランニングコストを考えて省エネタイプのA95Kシリーズを買うのも1つの手かもしれません。

ミニLEDテレビのよくある質問

MiniLED(ミニLED)テレビって何が違うの?
液晶テレビには画面を明るく表示するために本体の奥にバックライト(LED)が搭載されており、従来より小さなLEDを搭載したテレビのことを「ミニLEDテレビ」と言います。

従来2cmほどあったLEDのサイズが2mmくらいまで小さくなっており、より多くのLEDを搭載することが可能となります。

ミニLEDバックライトのメリットって何?
極端な話、バックライトが1つしか搭載されていなければ、画面全部が明るいか暗いか、明暗のメリハリはその2つだけです。

反対に、バックライトが万単位で搭載されていれば、部分的に明るくしたり暗くしたり、万単位の明暗のメリハリをつけられます。

明暗のメリハリは映像に奥行感を生み、色のコントロールもより細分化されるため画質が向上する効果があります。

ミニLEDのデメリットは?
LEDが小さくなることで、電気効率が悪くなります。省エネではありません。

また、これはミニLEDが悪い訳ではありませんが、ミニLEDはあくまでもマイクロLEDまでの繋ぎの性能であり、有機ELに画質の面で劣ります。価格次第では購入しても良いと思いますが、同額であれば有機ELの方が高画質。省エネ性能であれば従来の液晶が勝る。

なお、1000個以下の従来の液晶と3~4万個のミニLEDの画質差は、その数だけを見れば確かにあるはずですが、3~4万個を1つ1つコントロールしている訳ではありません。もっとも多くコントロールしているソニーやシャープでも10個以上まとめてコントロールしています。東芝はそれ以下。ハイセンスはもっと少ない。

結果、数が多くて明るいことだけが特徴のテレビになってしまっています。

ミニLEDテレビの価格はどれくらい?
55インチで18~36万円。65インチで24~40万円が相場です。メーカーや型落ちかどうかによって、かなりの幅があります。

ミニLEDテレビでパナソニック製は?
2023年の5月以降に発売されます。2022年はモデルが1つもありません。

ミニLEDテレビで50インチは?
2023年4月時点では50インチは発売されていません。

しかし、いずれ発売されるはずです。従来の液晶は相場が安くなりすぎているため、メーカーは必ず投入してくるはずです。

有機ELとミニLEDはどちらがおすすめ?
画質なら有機EL、価格や省エネ性能では従来の液晶テレビがおすすめです。

…………ミニLEDを買うメリットはありません。

ミニLEDテレビはソニー、東芝、シャープのどこがおすすめ?
斜めから見ることが多ければソニー、レスポンスを重視するならシャープ、価格を重視するなら東芝です。

ただし、ミニLEDをそもそもおすすめいたしません。

ミニLEDの電気代は?
有機EL>ミニLED>従来の液晶の順に電気代が高くなります。

もしもミニLEDをお店で見た時と同じ明るさで使用すると、従来の液晶の1.5倍ほどの電気を使います。

明るさを落として使うなら従来の液晶と比較しても電気代はほとんど変わりませんが、画質の差もありません。

消費電力や有機ELの焼き付きリスクなど

テレビの消費電力や有機ELのリスク(耐用年数含む)について詳しく知りたい方は、⇩の記事がおすすめです。

さらなる省エネに興味があれば、チューナ―レスも1つの選択肢です。

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