パナソニックのminiLED液晶テレビMX950は買ってはいけない?東芝やソニー、シャープ製のモデルと比較したときの違いを紹介

パナソニックが2023年7月21日からminiLED液晶テレビ、MX950シリーズの販売を開始しますが、パナソニックは有機ELこそ最良画質のテレビと位置付けており、miniLED液晶テレビへの力の入れ具合は二の次です。

家電量販店における明るさ競争に加わっていない良心的なテレビではあり、従来の液晶テレビよりは進化していますが、有機ELほどの画質性能はありません。

具体的にどの程度の性能であるのか、分かりやすく紹介いたしますので、気になる方はぜひ参考にしてください。

パナソニックのminiLED液晶テレビの位置づけ

引用元:パナソニック公式HP

「当初ミニLEDは高コストだったため、同じインチサイズの有機ELテレビの価格と比べて同等、もしくはそれを上回ることが想定された。プラズマテレビの時代から、(画質は)“自発光ディスプレイが最良”というのがビエラのスタンス。今回は、ミニLED搭載モデルを有機ELテレビよりも低く、そして現実的な価格で提供できると判断した」

引用元:パナソニックのminiLED液晶テレビに対するコメント(AV Watch)

パナソニックは自発光式のプラズマテレビを主力として戦ってきた経緯もあり、同様に自発光式の有機ELの開発に力を入れています。

有機ELのパネルはLGが製作したものを仕入れていますが、自社工場で独自チューニングを施すなど、他社と比較しても高画質であるための努力をしています。

一方、液晶テレビは年々力の入れ具合を落としており、上位モデルは2021年から直下型を取り止めて、明暗のメリハリを付けづらいエッジ型にしてコストを抑えています。

スタンダードモデルにしても、製造を中国のTCLに委託するなど、コストダウンを優先しており、2020年までのモデルの方が画質が優れていたほどです。

そんな中、2023年からminiLED液晶テレビを発売し、上位モデルを直下型に戻した上でLEDを小型化して10倍以上敷き詰めることで2020年までの上位モデルを超える画質を実現しています。

ただし、miniLED液晶テレビであるMX950シリーズは、あくまでも有機ELよりも安い価格で提供できる程度にコストを抑えて製造されているため、有機ELの画質を超えることはありません。

有機ELと比較したときの性能差

miniLED液晶テレビ
MX950シリーズ
有機ELテレビ
MZ1800シリーズ
光源数LED1~2万個自発光829万個
明暗のメリハリ光源数に比例光源数に比例
色のメリハリ光源数に比例光源数に比例
電気効率×
消費電力55型:225W55型:384W
全体的な明るさ適切な明るさ
(家庭用モード)
やや暗い
(家庭用モード)
全体的な明るさ適切な明るさを大きく超える
(家電量販店モード)
適切な明るさを少し超える
(家電量販店モード)
光源の明度低下ほぼなし4~5年後を目途に徐々に低下
寿命10年以上8~9年
焼き付きリスクなしあり

miniLED液晶テレビと有機ELテレビの画質差について、例えばminiLED液晶テレビ(MX950シリーズの場合)は1~2万個のLEDが搭載されており、1つのLEDが点灯すると414~829画素をまとめて照らします。

対する有機ELは1つの自発光素体が発光しても1画素しか照らさないため、明暗のメリハリは天と地の差が出ます。

夜景のように、画面全体が暗い場合は数百画素をまとめて消しても支障ないため、有機ELと同等の暗さの表現が可能ではあります。

特に、暗いシーンはそもそも人間の目で細かな違いを認識できないため、有機ELとの差が分かりづらいでしょう。

ただし、明るいシーンの中の暗い影の表現能力は有機ELより明らかに劣ります。

  • 明るいシーンでは829万と3万の光源数の違いを人の目で認識できる
  • 3万個の光源では明るさの中にある暗い影まで表現できていないことに気付く

miniLED液晶テレビはLEDが1つ点灯すると数百画素をまとめて照らし、色が白っぽく見えてしまうデメリットもあります。

有機ELは電気代が高い、寿命が短い、初期設定ではやや暗いため設定で明るさを上げる手間があるなど、画質以外の面ではデメリットが多々ありますが、少なくとも画質については有機ELの方が優れているといえるでしょう。

従来の液晶テレビと比較したときの性能差

引用元:パナソニック公式HP
miniLED液晶テレビ
MX950シリーズ
従来の液晶テレビ
LX950シリーズ
光源数LED1~2万個LED100~200個以下
明暗のメリハリ光源数に比例光源数に比例
色のメリハリ光源数に比例光源数に比例
電気効率
消費電力55型:225W55型:205W
全体的な明るさ適切な明るさ
(家庭用モード)
適切な明るさ
(家庭用モード)
全体的な明るさ適切な明るさを大きく超える
(家電量販店モード)
適切な明るさを大きく超える
(家電量販店モード)

miniLED液晶テレビであるMX950シリーズは、1つのLEDが点灯させる画素数が414~829画素であるに対し、従来の液晶テレビLX950シリーズは41,472~82,944画素以上をまとめて照らします。

しかも従来のLX950シリーズはLEDを画面全体でなく画面下部に集約されているため、実際には垂直方向の画素全てを照らし、明暗のメリハリはほとんど付かない――――と思いきや、実はテレビには1画素ごとに「光のシャッター」が搭載されているため、LEDを細分化&点灯消灯でメリハリを付ける効果は「おまけ」であり、従来の液晶テレビでも同程度のメリハリが付きます。

「光のシャッター」は超高速で光の透過と遮断を繰り返すため、ごくごくわずかに光の漏れがあり、その漏れを限りなくゼロに近づけるためにLEDを消灯させるわけですが、LEDの消灯にもタイムラグがある上に、1つのLEDを消灯させるとある程度の数の画素をまとめて消してしまうため、実際に消灯できるシーンはほんの一部です。

有機ELとの比較でも紹介しましたが、連続的かつ全体的に暗闇が続く夜景であれば消灯効果が活きてきますが、1画素ごとにコントロールできない時点で明るいシーンではほとんど効果を発揮しません。

結果として、夜景を見比べると従来の液晶テレビよりminiLED液晶テレビの方がメリハリが出ますが、明るいシーンでは差が分からないでしょう。

見比べても分からない程度であるため、見比べることがない自宅での使用において、miniLED液晶テレビは価格に見合う性能を体感することはほとんどありません。

だからこそ、パナソニックはminiLED液晶テレビの開発に乗り気でなく、他社の1年遅れで製品化した面もあると思われます。

他社モデルと比較したときの性能差

引用元:Amazon公式HP

自宅での使用において、miniLED液晶テレビは価格に見合う性能を体感できないと申し上げた時点で、他社モデルとの比較は意味を成しませんが、ほかのメーカー製のminiLED液晶テレビは注意すべき要素があるため紹介いたします。

パナソニックのminiLED液晶テレビは、家電量販店での明るさ競争に加わっていない良心的なテレビですが、ソニーとシャープは違います。

LED数消費電力年間消費電力
パナソニック製miniLED
65MX950
1~2万270W182kWh
東芝製miniLED
65Z970M
1~2万288W209kWh
ハイセンス製miniLED
65U9H
1~2万350W220kWh
ソニー製miniLED
XRJ-65X95L
3万~4万376W219kWh
シャープ製miniLED
4T-C65EP1
3万~4万416W218kWh
  • メーカーごとの消費電力の差の多くは、LEDに送る電気量の違いである
  • LEDに多くの電気を送れば送るほど、より明るい表現ができる

パナソニックと東芝は消費電力が大差なく、画面の明るさもほとんど変わりません。

ハイセンスは消費電力が高いものの、LEDの搭載数は東芝とほぼ同数であり、電気量が多い理由は電源のエネルギーロスの多さや各パーツの電気効率が良くないためであり、明るさはほとんど同じです。

明るさが大きく異なるメーカーはソニーシャープであり、LED搭載数は約2倍で、より多くの電気を使い凄まじい明るさで映像を表現します。

映像は明暗のメリハリがあればあるほど奥行き感が生まれ、LED搭載数は多ければ多いほど部分的な明暗のメリハリも付けやすくなるため、スペック上はminiLED液晶テレビとして最強ですが、あまりの眩しさで自宅では直視できません。

  • 家電量販店など、業務用の照明下であればギリギリ眩しさを感じない
  • 人は明るい方が安心し、キレイに感じる生き物であるため、業務用の照明下であればより明るいテレビの売れ行きが良い
  • 画質競争においてもっとも効果的な要素が、映像エンジンやパネル性能でなく、単なる明るさである

家電量販店で画質を見比べたとき、より明るいモデルの方が売れ行きが良いため、多くのメーカーが明るさを重視して製品を開発します。

ただし、自宅では過度な明るさであるため、明るさを重視して開発しておきながら、自宅に届くときには明るさを大幅に下げた設定になっています。

商品の展示や宣伝は店頭用モードで行っておきながら、明るさを下げた状態で出荷している事実は、自宅では適切でないといっているも同じです。

LED数消費電力年間消費電力
パナソニック製miniLED
65MX950
1~2万270W182kWh
シャープ製miniLED
4T-C65EP1
3万~4万416W218kWh

特に、シャープはパナソニックの1.5倍以上の電気を使いながら、年間消費電力が1.2倍程度に抑えられている理由も、自宅に届くときは明るさが大幅に抑えられているからに他なりません(消費電力は店頭用モード、年間消費電力は家庭用モードで計測されている)。

もちろん、パナソニックの本命は有機ELであるため、有機ELと見比べてminiLEDの方がキレイという印象を与えない狙いもあると思われますが、パナソニックはminiLED液晶テレビを過度な明るさを映し出すテレビとして開発しておらず、店頭で見たときと自宅で見るときの画質差が小さいため、miniLED液晶テレビの中では良心的なモデルであるといえます。

結局のところ、どのメーカーのモデルも自宅用のモードで視聴するときは明るさやメリハリに大きな差がなく、有機ELには画質で劣り従来の液晶テレビにはコスパで劣るため、購入するメリットは小さいでしょう。

せめて2024年の春頃の型落ちになるタイミングまで待って購入するか、それまで待てないのであれば有機ELか通常の液晶テレビを購入しましょう。

電気代が高く寿命が短い有機ELも、型落ちモデルで購入金額を抑えれば、画質とコスパの良さを両立できるため、気になる方は⇩売れ筋ランキングを参考にしてください。

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